千紘さんのありがた~いお話
 



 布団に入り、本を読んでいる間に、真昼は眠ってしまったようだ。

 千紘は、そうっと扉を開け、覗いてみる。

 新妻の寝室を覗くと言うと、なにやら、色っぽい感じだが、真昼の寝姿はなにも色っぽくはない。

 部活で疲れた中高生が爆睡しているのと変わらない気がする。

 千紘は足音を忍ばせ、近づくと、真昼の眠るキングサイズのベッドに腰をかけてみた。

 確かに色気のかけらもないが。

 ……可愛いな、と微笑み、見下ろす。

 あんまり可愛いので、額をなでてやった。

 慣れない家事のせいか、真昼はいつも死んだように眠っていて、なにをしてもピクリとも動かない。

 少々おいたをしても気づかれないのではなかろうかとか、つい、思ってしまうのだが。

「いや……、どうせなら、覚えてて欲しいしな」
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