千紘さんのありがた~いお話
 どうせ勇気を出すのなら、普通にプロポーズすればよかったのでは、と今は思うのだが。

 写真で見た通りの真昼がいきなり、エレベーターの中に現れて、動転して、どうしていいのかわからなくなったのだ。

 真昼は機嫌よく支度を始めていた。

 まあ、だいたい、こいつはいつも機嫌がいいんだが。

 俺がなにか言っても、笑顔で断ってきそうで怖い、と思う千紘に、

「千紘さん、この服どうですかねー」
と言いながら、真昼が夏らしいノースリーブの白のワンピースに着替えて出てくる。

「……いいんじゃないか?」

 可愛いぞ、真昼。
 お前はやはり、白がよく似合う。

 清楚な感じだからな。

「あ、やっぱり、こっちがいいですかね?」
と真昼は、今度は、黒のサマーニットにヒマワリ柄のふんわりしたスカートで現れた。
< 175 / 429 >

この作品をシェア

pagetop