千紘さんのありがた~いお話
「まあ、なんだかわかんないけど。
 普通に、先生について帰ればいいんじゃないですか?」
と軽く愁子は言ってくる。

「だって、始まりはどうだったか知らないけど。
 今は、何処をどう見ても、普通にラブラブの夫婦じゃないですか」

「そうかなー。
 お前はもう用済みだ、ははははは、とか言って去ってっちゃったりしないかなあ、千紘さん」

「先生、確かに変わってる人だけど。
 真昼さんの頭の中の先生ほど、変わってないと思いますよ……」

 愁子は窓の外を見て、言ってきた。

「先生、そもそも、そんな要領のいいキャラじゃないですよね。
 女の人、もてあそんで捨てるとか。

 悪いけど、学者気質で、そういう意味では面白味がなさそうって言うか。
 っていうか、そこで偽装結婚とか言っちゃう辺り、全然、要領よくないし」

「え? なんで?」
と訊いたが、

「自分で考えてください」
と言われる。
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