千紘さんのありがた~いお話
「いやあ、よく考えたら、千紘さんに用なしだって言われたら、私、ひとりが此処に居る意味ないし。

 どのみち、出てくんだな、と思って。

 田所さんの毒舌聞けるのも、あとちょっとかと」

「何処が毒舌ですか。
 真実を言ってるだけですよ」
と言われ、

 いや、その一言が一番の毒舌ですよ、と思う。

「……千紘先生に置いてかれたら、残ればいいじゃないですか、此処に。
 真昼さんがいつも行ってる書店、バイト募集してましたよ」

「ありがと、田所さん」

「愁子」

「え」

「愁子でいいです。
 今更だけど」

「ありがとう、愁子ちゃん」

 愁子は軽く手を振り、いいから、行けという仕草をする。

 うーむ。
 どちらが年上だかわからない雰囲気だ、と思いながらも、そのまま、千紘を追って飛び出した。




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