千紘さんのありがた~いお話
「戻るんですか?」

「まあ……戻らない理由はないな」
と言いながら、千紘も何処か寂しそうではあった。

「真昼」
と夕日を背にした千紘がこちらを見る。

「……近いうちに、話がある」

 ……今っ。

 今、話してくださいっ、今っ。

 これ以上、間を置かないでくださいっ。

 いろいろとショック死しますっ、と思っていたが、言葉に出すことはできなかった。

 真昼は千紘を見つめ、覚悟を決めて言った。

「今夜……、鍋にしてもいいですか?」




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