千紘さんのありがた~いお話
 



 鍋か。

 最初は鍋料理が多かったなと、くつくつ煮える鍋の音を聞きながら、千紘はしみじみ思い出していた。

 それにしても、暑い。

 そもそも、この三階は、下からのエアコンの熱気が上がってくるのか、やたら暑くて。

 駐車場に下りてみたら、涼しくてビックリすることもしばしばだ。

 ああ、エアコンを強くしなければ。

 ちょっと気が遠くなってきた……と千紘は思う。

 これは、なんの罰ゲームだろうかな。

 最初に会ったとき、ハッキリ告白しなかった罰だろうか。

 だが、真昼が俺のような、特に面白みもない、つまらない人間を見た瞬間に好きになるとかなさそうだったから。

 どうしても、真昼と居たいと思って、あんなことを言ってしまったんだが。

 そう思ったとき、沈黙したまま、鍋を食べていた真昼が言った。
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