千紘さんのありがた~いお話
「わかりませんが。
 暑いし、胸がいっぱいなので、食べ物は食べた記憶がありません」

「それ、単に暑さで食べられなかったんじゃないのか」

 なんで鍋にしたっ? と千紘は言ってくる。

「お前、空きっ腹に何杯呑んだんだ……。
 いや、それより、今、なんて言った?」
と訊き返される。

「私はこの無人島で魚を釣って暮らします」

「いや、そこのところじゃなくてっ。
 っていうか、門馬たちに殴られるぞ……」
と言う。

「千紘さん、私のことなど、どうぞ、置いて帰ってください」
と真昼は、床に手をつき、泣いたあとで、すぐ、

「……嘘ですっ」
と叫ぶ。

「うん。
 典型的な酔っ払いだな」
と千紘は冷静に呟いていた。





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