千紘さんのありがた~いお話
 



 週末、百人一首大会が行われた。

「ふふふ。
 真昼さん、ついに此処までたどり着きましたねっ」
とハチマキを手に仁王立ちになった愁子が言う。

「……まあ、ある意味ね」
と会場となっている学校の体育館を見回しながら、真昼は言う。

 龍平くんたちの学校には来たことなかったからな、と思いながら。

 っていうか、この学校、愁子ちゃんの陣地でもない気がするんだけど……。

「真昼さんっ。
 どっちが千紘先生にふさわしいか、百人一首で勝負ですっ」
と言う愁子の側で、千紘が、

「……俺は数学教師なんだが」

 何故、俺にふさわしいか、百人一首で決まる……? と呟いていた。





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