極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
八時半になるとモーニングタイムは終了で、喫茶店のガラス扉にクローズの札をかける。
十時半に再び店を開けるまで、しばしの休憩時間だ。
先ほどまでイケメン男性客がいたテーブルで、マスター夫妻と実乃里は向かい合って朝食をとる。
洋子が並べてくれたのは、チーズトーストとハムエッグ、サラダ、コンソメスープである。
もちろんマスター自慢のブレンドコーヒー付きだ。
夏なので、実乃里はアイスコーヒーにしてもらい、焼き立てのチーズトーストを頬張る。
一時間半の濃い労働の後には、シンプルな朝食でも染み渡るように絶品に感じられた。
「美味しい」と何度も口にしながら夢中で食べる実乃里に、マスター夫妻が好意的な視線を向けている。
「実乃里ちゃんが来てくれてよかったよ。前のアルバイトの子が辞めてから、なかなか応募がなくて。しばらく洋子とふたりでやってたが、体力的にきつくてな」
そう言ったマスターは、クシャリと顔に皺を寄せて笑った。
マスターは丸眼鏡をかけ、鼻の下に六割が白いちょび髭を生やしている。
それがよく似合っており、人のよさそうな印象も感じられた。
実際、気さくで温和、とても気持ちのいい人柄であるのだが、「うちの店はなぜかアルバイトが居着かないんだよな」と不思議がるところには指摘を入れたくなる。
(仕事量と内容が、時給と見合っていないからですよ……)
十時半に再び店を開けるまで、しばしの休憩時間だ。
先ほどまでイケメン男性客がいたテーブルで、マスター夫妻と実乃里は向かい合って朝食をとる。
洋子が並べてくれたのは、チーズトーストとハムエッグ、サラダ、コンソメスープである。
もちろんマスター自慢のブレンドコーヒー付きだ。
夏なので、実乃里はアイスコーヒーにしてもらい、焼き立てのチーズトーストを頬張る。
一時間半の濃い労働の後には、シンプルな朝食でも染み渡るように絶品に感じられた。
「美味しい」と何度も口にしながら夢中で食べる実乃里に、マスター夫妻が好意的な視線を向けている。
「実乃里ちゃんが来てくれてよかったよ。前のアルバイトの子が辞めてから、なかなか応募がなくて。しばらく洋子とふたりでやってたが、体力的にきつくてな」
そう言ったマスターは、クシャリと顔に皺を寄せて笑った。
マスターは丸眼鏡をかけ、鼻の下に六割が白いちょび髭を生やしている。
それがよく似合っており、人のよさそうな印象も感じられた。
実際、気さくで温和、とても気持ちのいい人柄であるのだが、「うちの店はなぜかアルバイトが居着かないんだよな」と不思議がるところには指摘を入れたくなる。
(仕事量と内容が、時給と見合っていないからですよ……)