極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
能天気なところがある実乃里でも、さすがに面と向かって経営者に指摘はできず、半分食べたチーズトーストに半熟の目玉焼きを乗せてかぶりつきながら、曖昧に頷いてやりすごそうとする。
すると今度は洋子が、若干、恣意的な感じのする笑みを浮かべて実乃里に言った。
「実乃里ちゃんは、ずっとここで働いてくれるわよね? とてもいい子が入ったって、うちの人もお客さんたちも、もちろん私も喜んでいるのよ。末長くよろしくね」
「ええと……ありがとうございます」
マスターの面接を受けた時に、将来は自分のカフェを持ちたいという夢を話したはずなのに、それは洋子に伝わっていなかったのだろうか。
それとも、聞かなかったことにされているのかもしれない。
文句を言わず、安い賃金で一生懸命に働いてくれる実乃里を手放すまいと考えているのではあるまいか。
困った実乃里は話を逸らそうとして、卵サンドについて話し始めた。
「今日はオリジナルの卵サンドを作らせてくれてありがとうございました。あのお客さん、完食しても食べ足りなさそうにしていたんですよ。次も私が作っていいですか? 今度は粉チーズを入れてみたいと思います」
「いいわよ」と快諾してくれた洋子の隣で、マスターが「卵サンド? ああ、龍司さんか」と独り言のように呟き、コンソメスープをすすっている。
すると今度は洋子が、若干、恣意的な感じのする笑みを浮かべて実乃里に言った。
「実乃里ちゃんは、ずっとここで働いてくれるわよね? とてもいい子が入ったって、うちの人もお客さんたちも、もちろん私も喜んでいるのよ。末長くよろしくね」
「ええと……ありがとうございます」
マスターの面接を受けた時に、将来は自分のカフェを持ちたいという夢を話したはずなのに、それは洋子に伝わっていなかったのだろうか。
それとも、聞かなかったことにされているのかもしれない。
文句を言わず、安い賃金で一生懸命に働いてくれる実乃里を手放すまいと考えているのではあるまいか。
困った実乃里は話を逸らそうとして、卵サンドについて話し始めた。
「今日はオリジナルの卵サンドを作らせてくれてありがとうございました。あのお客さん、完食しても食べ足りなさそうにしていたんですよ。次も私が作っていいですか? 今度は粉チーズを入れてみたいと思います」
「いいわよ」と快諾してくれた洋子の隣で、マスターが「卵サンド? ああ、龍司さんか」と独り言のように呟き、コンソメスープをすすっている。