極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
「あのかっこいいお客さん、龍司さんというんですか!」
実乃里が急に声を大きくしたため、マスターをむせさせてしまった。
「すみません」と謝りながらも、彼女は興奮を抑えられない。
常連客なのだから、彼に関する情報をマスターが知っていそうだと考えるべきであった。
それに気づいたら、矢継ぎ早に問いかけずにいられない。
「名字と年齢を教えてください。近くに住んでいるんですか? ロイヤルにはどれくらい通っているんでしょう?」
マスター夫妻は顔を見合わせている。
戸惑っている様子だが、実乃里の質問にはマスターが答えてくれた。
「逢坂龍司さんという名だよ。歳は確か三十五だったかな。ここには五年ほど、週に二、三度通ってくれてるよ。自宅は知らないが、事務所はすぐ近くにーー」
「職場が近いんですか! それで朝食をここで済ませてから出勤するんですね」
「職場といえば、まぁそうなるのかな。実乃里ちゃん、もしや龍司さんに惚れたのかい?」
マスターが困ったように眉尻を下げているのはどういうわけか。
「既婚者なんですか?」とややテンションを落として問いかければ、マスターは「いいや」と首を横に振る。
「恋人がいるのかどうかは知らないが、あの人はやめておいた方がいいぞ。実乃里ちゃんみたいな女の子が、手に負える相手じゃないからな」
実乃里が急に声を大きくしたため、マスターをむせさせてしまった。
「すみません」と謝りながらも、彼女は興奮を抑えられない。
常連客なのだから、彼に関する情報をマスターが知っていそうだと考えるべきであった。
それに気づいたら、矢継ぎ早に問いかけずにいられない。
「名字と年齢を教えてください。近くに住んでいるんですか? ロイヤルにはどれくらい通っているんでしょう?」
マスター夫妻は顔を見合わせている。
戸惑っている様子だが、実乃里の質問にはマスターが答えてくれた。
「逢坂龍司さんという名だよ。歳は確か三十五だったかな。ここには五年ほど、週に二、三度通ってくれてるよ。自宅は知らないが、事務所はすぐ近くにーー」
「職場が近いんですか! それで朝食をここで済ませてから出勤するんですね」
「職場といえば、まぁそうなるのかな。実乃里ちゃん、もしや龍司さんに惚れたのかい?」
マスターが困ったように眉尻を下げているのはどういうわけか。
「既婚者なんですか?」とややテンションを落として問いかければ、マスターは「いいや」と首を横に振る。
「恋人がいるのかどうかは知らないが、あの人はやめておいた方がいいぞ。実乃里ちゃんみたいな女の子が、手に負える相手じゃないからな」