極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
思えば彼が声を出して笑っているところを見るのは、これが初めてである。
笑顔を見られるのは嫌なのか、顔を逸らして肩を揺すっている龍司に、実乃里は目を瞬かせた。
(これはきっと、喜んではいけない笑い方だよね……?)
笑顔にさせたのではなく、笑われたのだと理解して作戦の失敗を悟る。
努力しても無駄であったかと肩を落とした実乃里であったが、その直後に鼓動が跳ね上がった。
龍司が実乃里の肩を抱き寄せたのだ。
笑いを収めた彼は片手を実乃里の頬に添え、キスを企んでいるかのように、ゆっくりと顔を近づけてくる。
その口の端はつり上がり、クールな瞳は楽しげに弧を描く。
絡み合う視線から、実乃里は逃げられない。
他の客が肩に腕を回してきたら、不快感に叩き落とすか、立ち上がって回避するけれど、龍司は別だ。
期待と喜びで顔も胸も熱くなり、添島や他の客らの冷やかしとホステスたちの黄色い声、大音量のカラオケも実乃里の耳には入らなかった。
わずか十センチの距離で見つめてくる龍司は、ニヤリとして不遜な謝り方をする。
「そういう格好をしていると、女だな。この前はガキ扱いして悪かった」
面白がっているからなのか、いつものような淡白な口調ではなく、その声には艶があった。
「香水をつけているのか? 甘い香りがするな。ホステスらしい化粧と露出の高い服。女ってのは怖いな。誰だかわからないほど色っぽい」
笑顔を見られるのは嫌なのか、顔を逸らして肩を揺すっている龍司に、実乃里は目を瞬かせた。
(これはきっと、喜んではいけない笑い方だよね……?)
笑顔にさせたのではなく、笑われたのだと理解して作戦の失敗を悟る。
努力しても無駄であったかと肩を落とした実乃里であったが、その直後に鼓動が跳ね上がった。
龍司が実乃里の肩を抱き寄せたのだ。
笑いを収めた彼は片手を実乃里の頬に添え、キスを企んでいるかのように、ゆっくりと顔を近づけてくる。
その口の端はつり上がり、クールな瞳は楽しげに弧を描く。
絡み合う視線から、実乃里は逃げられない。
他の客が肩に腕を回してきたら、不快感に叩き落とすか、立ち上がって回避するけれど、龍司は別だ。
期待と喜びで顔も胸も熱くなり、添島や他の客らの冷やかしとホステスたちの黄色い声、大音量のカラオケも実乃里の耳には入らなかった。
わずか十センチの距離で見つめてくる龍司は、ニヤリとして不遜な謝り方をする。
「そういう格好をしていると、女だな。この前はガキ扱いして悪かった」
面白がっているからなのか、いつものような淡白な口調ではなく、その声には艶があった。
「香水をつけているのか? 甘い香りがするな。ホステスらしい化粧と露出の高い服。女ってのは怖いな。誰だかわからないほど色っぽい」