極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
驚いた後は俄然張り切り、実乃里は龍司の手を握りしめると何度目かの告白をする。


「龍司さんが好きです。私を恋人にしてください」

「お前は……立ち直るのが早すぎるだろ」


周囲から笑いが起こり、龍司は居心地が悪そうに顔をしかめる。

水割りを手に取ると一気に半分ほどを喉に流し込み、席を立った。

腕を掴んで実乃里も立たせると、「おい」と深雪ママを呼び寄せる。


「龍司さん、実乃里ちゃんをお持ち帰りかしら?」と問いかけた深雪ママに、龍司は真顔で「そんなところだ」と答えた。

「えっ!?」と声を上げた実乃里だが、残念ながら恋が実ったわけではないようだ。


「悪いが、こいつを辞めさせてやってくれ。労働時間超過に加え、無理しているのがわかるよな? この店では役にも立たないだろ」

「あら、そんなことないわ。実乃里ちゃんがいると雰囲気が明るく健全になるのよ。でも龍司さんがそう言うのなら、仕方ないわね。実乃里ちゃんが心配なのでしょう?」


チッと舌打ちした龍司に、深雪ママはクスクスと笑っている。


(私を辞めさせようとしたのは、心配だからって、本当に……?)


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