極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
実乃里を見た斑目は眉を上げ、「ロイヤルの小娘か」と鼻を鳴らす。

それからローテーブルを回り込んで、ひとり掛けのソファに踏ん反り返った。

実乃里は視線を合わせずに会釈し、一尾たちは一旦食べる手を止め、緊張している様子だ。


「本部長、お疲れ様です。コーヒー淹れますか?」

「おう、濃いめのやつな。龍司がいねぇな。あいつ、どこ行った?」

「品川のオフィスだと思いますけど……まだ帰ってません」

「またか。毎日顔出したって、そんなにやることもねぇだろ。あいつ、裏でなにかやってんな。ここのところ、動き方が妙だ」


一尾たちは返事に困っている様子で、顔を見合わせている。

帰ると言い出せなくなった実乃里は、斑目をチラチラと見ながら、ソファにじっとしている。


(龍司さんは、刑事の方の仕事で忙しいのかな。疑われてるよ。潜入捜査官だと気づかれたら、どうしよう……)


「龍司の奴、やべぇことやってんだろ」と凄みのある声で問われた一尾は、恐れを顔に出して「じ、自分にはわかりません」と上擦る声で答えている。


< 129 / 213 >

この作品をシェア

pagetop