極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
龍司は声を荒げない。

それでも斑目を黙らせることができるのは、若頭の地位と、強者のオーラを併せ持っているからなのだろう。


ソファの横に来た龍司は、実乃里の腕を引っ張り立たせ、自分の方へ引き寄せた。

斑目からやっと離れることができて、実乃里に笑顔が戻る。

龍司が微笑み返してくれることはないけれど、自然な動作で実乃里の肩に腕を回すと、ドアへ誘う。

そのまま無言で廊下を進み、玄関から外へ出され、肩から腕が外された。


「龍司さんに会えて嬉しいです」


向かい合って立つ実乃里は、八日ぶりに顔を見ることができたと、頬を紅潮させる。

真顔を向けられても、それが彼の常なので機嫌を推し量ることはできず、無邪気に喜んでいた。


「これ、卵サンドとーー」

抱えていたペーパーボックスを差し出そうとしたら、「もう来るな」と龍司に冷たい声で遮られた。


「え……?」

「ここは遊び場じゃない。一尾たちだけならいいと思ったのだろうが、あいつらも極道だ。裏では悪事に手を染めている。友達感覚でいると怪我じゃ済まないぞ」

「はい……」


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