極艶恋～若頭は一途な愛を貫く～
朝食を中断した洋子は立ち上がって、すぐに調理場へ。

電話を終えたマスターも、「実乃里ちゃんは食べていて」と言って、ピザ作りに行ってしまった。


店内のBGMは休憩時間中は切られており、外を走る車の音が聞こえるほどに静かになった。

そんな店内で、実乃里だけがモソモソと食事を続けながら眉を寄せる。


（朝からピザのデリバリー注文を受けるなんて……）


今の時刻は八時五十分。

配達は近所限定であり、実乃里は一度だけ頼まれたことがあった。

その時は百メートルほどの距離にあるスナックで、フライドポテトや唐揚げなどのオードブルの注文だ。

時間帯は十八時頃であり、今電話をかけてきた客とは違うだろう。


朝食にLサイズのピザを三枚も食べようとしている客もおかしければ、営業時間外に二つ返事で注文を受けてしまうこの店もちょっと変わっている。

これは参考にできないと心のメモ帳には書きとめず、実乃里は三分の一をストレートで飲んだアイスコーヒーにミルクとシロップを注ぎ、味の変化に意識を向けるのであった。


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