極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
「手がかじかんでいるのか? 世話の焼ける女だ」
仕方ないと言いたげに龍司は実乃里のコートを脱がした。
それでやっと現実に引き戻された実乃里は、自分の体を隠すように抱きしめ、真っ赤な顔で「あっ」と声を上げる。
「おかしな声を出すな。動けるなら自分で着ろ」
「は、はい」
「行くぞ」
龍司のぶかぶかなコートを着込んで、自分のものを腕に抱えた実乃里は、先に玄関を出た彼に慌てて続く。
車庫に下り、乗るように言われたのは、五人乗りの黒いセダン。国産の高級車である。
胸を高鳴らせる実乃里を助手席に乗せた龍司は、運転席へ。
車は静かなエンジン音で走り出し、住宅地の細道から大通りへ出た。
龍司が運転する姿を初めて見る実乃里は、その端正で男らしい横顔に、熱視線を送り続けている。
(ハンドルを握る右手も、シフトレバーにかけられた左手も、私に向ける横顔もなにもかもが素敵。車を運転する男性なんてこの世にはごまんといるのに、龍司さんだと、どうしてこんなにかっこよく見えるんだろう……)
思わず熱い吐息を漏らせば、チラリと横目で睨まれた。
「そんなに見るな。俺の顔になにかついてんのか?」
「ついてます。かっこいい目と鼻と口が」
仕方ないと言いたげに龍司は実乃里のコートを脱がした。
それでやっと現実に引き戻された実乃里は、自分の体を隠すように抱きしめ、真っ赤な顔で「あっ」と声を上げる。
「おかしな声を出すな。動けるなら自分で着ろ」
「は、はい」
「行くぞ」
龍司のぶかぶかなコートを着込んで、自分のものを腕に抱えた実乃里は、先に玄関を出た彼に慌てて続く。
車庫に下り、乗るように言われたのは、五人乗りの黒いセダン。国産の高級車である。
胸を高鳴らせる実乃里を助手席に乗せた龍司は、運転席へ。
車は静かなエンジン音で走り出し、住宅地の細道から大通りへ出た。
龍司が運転する姿を初めて見る実乃里は、その端正で男らしい横顔に、熱視線を送り続けている。
(ハンドルを握る右手も、シフトレバーにかけられた左手も、私に向ける横顔もなにもかもが素敵。車を運転する男性なんてこの世にはごまんといるのに、龍司さんだと、どうしてこんなにかっこよく見えるんだろう……)
思わず熱い吐息を漏らせば、チラリと横目で睨まれた。
「そんなに見るな。俺の顔になにかついてんのか?」
「ついてます。かっこいい目と鼻と口が」