極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
実乃里は、自分の姿が彼の目にどう映るかと緊張している。

けれども龍司は、チラリと見ただけですぐに目を逸らした。

興味なげな顔をして、バスタオルと着替えを手に、実乃里と入れ替わりでリビングを出ていこうとしている。


「冷蔵庫の中のもの、勝手に飲み食いしていいぞ。大したものはないが。ドライヤーは机の上だ」

「ありがとうございます……」


世話をしてくれるのは嬉しいが、セクシーランジェリーの上にワイシャツを着ただけの姿に、少しも関心を示してくれず、実乃里は気落ちする。


(こんな格好でも、私に興味はないみたい。だったらどうして、エッチな下着を私に着せたのかな……)


首を傾げた実乃里は、バスタオルで肩下までの黒髪を拭きつつ冷蔵庫に歩み寄り、扉を開けてみた。

龍司が言った通り、ものは少なく、食品はチーズとハムだけである。

飲み物は五百ミリリットルのミネラルウォーターのペットボトルが三本と、缶コーヒーが十本ほど、缶ビールが一本、それだけである。


(家ではほとんど、食事をしないのかな……)


ミネラルウォーターを一本もらうことにして、冷蔵庫を閉めたら、脇に置かれていたゴミ箱が目についた。

一番上に捨てられていたのは、女性らしい筆跡でなにかが書かれたメッセージカードである。

つい、それを拾い上げて読んでしまった実乃里は、なるほど……と謎が解けた思いでいる。

そこには、こう書かれていた。


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