極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
この辺りはロイヤルのような昭和の香りがする個人商店や、木造二階建ての民家が多いが、それに交ざってモダンで新しい住宅や、なにかの会社の社屋と思しき建物もちらほらと見受けられる。
そのような景観の中で、この純和風な門を持つ大邸宅は異質な感じがした。
古くからこの辺りを仕切ってきた旧家なのだろうかと実乃里は予想しつつ、呼び鈴を押そうと右手を上げる。
けれどもその手は宙をさ迷うのみ。
呼び鈴がないのだ。
これでは、どうやってピザを届けていいのかわからない。
困った実乃里が「すみませーん」と声を張り上げていたら、門の内側ではなく、後ろから近づいてきた誰かに「おい」と声をかけられた。
振り向けばそこにいるのは、クールなイケメン……龍司である。
たちまち頬を火照らせて笑顔になる実乃里に対し、龍司は厳しい顔つきで「なにをやっている?」と問いかけてきた。
「ピザの配達ですけど、呼び鈴がなくて……」
接客以外の会話を初めて交わせたと喜べなかったのは、睨むように見られたからだ。
それはまるで、立入禁止区域の侵入者を咎めるような視線である。
そのような景観の中で、この純和風な門を持つ大邸宅は異質な感じがした。
古くからこの辺りを仕切ってきた旧家なのだろうかと実乃里は予想しつつ、呼び鈴を押そうと右手を上げる。
けれどもその手は宙をさ迷うのみ。
呼び鈴がないのだ。
これでは、どうやってピザを届けていいのかわからない。
困った実乃里が「すみませーん」と声を張り上げていたら、門の内側ではなく、後ろから近づいてきた誰かに「おい」と声をかけられた。
振り向けばそこにいるのは、クールなイケメン……龍司である。
たちまち頬を火照らせて笑顔になる実乃里に対し、龍司は厳しい顔つきで「なにをやっている?」と問いかけてきた。
「ピザの配達ですけど、呼び鈴がなくて……」
接客以外の会話を初めて交わせたと喜べなかったのは、睨むように見られたからだ。
それはまるで、立入禁止区域の侵入者を咎めるような視線である。