極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
気怠げに半乾きの前髪を掻き上げる龍司にあくびをされ、実乃里は唖然とした。

(今のキスの意味って……)


実乃里の期待とは程遠く、キスでもしてやれば満足して寝るだろうと思っての行為であったようだ。

下着姿を褒めてくれたのも、おそらく同じ理由だろう。


これには落胆を通り越し、実乃里の中に怒りが湧いた。

それは、セクシーランジェリーを身につけても少しもその気にさせられない悔しさと、軽く見られていることに対する怒りである。


(結局子供扱いなんじゃない。私の恋心を、子供騙しのキスで軽くあしらうなんて許せない。もう怒った。こうなったら力尽くで既成事実を作ってやるんだから)


ベッドに膝立ちした実乃里は、龍司にまたがると、全体重をかけて押し倒した。

「なにやってる」と驚く彼を上から睨みつけ、きっぱりと言い放つ。


「あなたはなにもしなくていいですから、これから私がすることを、黙って見ていてください」


強い怒りから、目的を達成することしか考えられず、恥ずかしさを忘れている。

龍司は頭だけを持ち上げ、腹部にまたがる実乃里に眉を寄せていた。

彼女の狙いがわからないため、様子を見ようとしているような表情である。


お尻の位置を龍司の太腿まで下げた実乃里は、彼のスラックスのボタンを外してチャックを下ろし、躊躇なくボクサーパンツの中のものを掴んで引っ張り出した。


「おい、やけになるな!」


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