極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
これには慌てて起き上がろうとした龍司だが、実乃里は彼の胸を両手で押して阻止し、「見ていてくださいと言ったでしょう」と真顔で凄む。

一瞬、気圧されたように息をのんだ龍司は、大きく息を吐くと、好きにしろというかのように、組んだ両手を枕に体から力を抜いた。


実乃里は視線を彼の股間に戻す。

龍司のそれは、元から完全に柔らかくはなかったため、実乃里の手の中ですぐに硬くなった。

その上にまたがった実乃里は、ショーツをずらして自分の中に押し込もうとする。


「あれ……入らない。どうして? 初めてだから入口が狭いのかな」


実乃里の独り言を聞いた龍司は、呆れたように言う。


「処女なのか。無理しやがって。体の準備もなく入るわけないだろ」


「キャッ!」と実乃里が声を上げたのは、体を反転させられたからだ。

仰向けに倒された彼女の上に今度は龍司がまたがり、体勢は逆転した。


「付き合ってはやれないが、それでもいいなら抱いてやる。俺も男だからな、目の前にあられもない姿で誘う女がいれば体は反応する」


龍司の手がスリップの肩紐にのびて、ほんの少し下げられた。

冷めていた彼の瞳には、獣のような色気があふれ、纏う雰囲気は蠱惑的だ。


「止めるなら今だぞ。付き合えない男に抱かれて、お前は後悔しないのか?」


覚悟を問うような言葉に、実乃里は真剣な目で彼を見上げ、迷いのない声で答える。


「抱いてください。今夜、なにもせずに終わった方が後悔します」

「困った女だ……」


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