極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
にやけそうになりながら恋愛妄想を膨らませていると、トレーにのせたコーヒーをこぼしそうになり、仕事に集中しなければと自分を戒める。
トーストとコーヒーの香りが立ち込める店内は、空席がカウンター席のひとつだけしかない。
龍司用にリザーブしておくべきかと実乃里が迷っていたら、ドアベルが鳴り、入ってきたのは深雪ママであった。
マスターが「どうぞ」とカウンター席に案内したので、満席になってしまった。
誰か他に帰ってくれそうな客はいないかと気にかけつつも、実乃里は水とおしぼりを深雪ママに出し、不思議に思って問いかける。
「おはようございます。こんな朝早くからご来店なんて、どうしたんですか?」
深雪ママは服装こそ夜の雰囲気を醸してセクシーゴージャスだが、かなり薄化粧である。
疲れたような顔で、もしかすると徹夜明けなのかもしれない。
カウンター裏のマスターに、ミックスサンドとコーヒーの注文を伝えた深雪ママは、実乃里に事情を話す。
「もう、嫌になっちゃうわ。昨日、白蛇が来てね、止めたのに泥酔するまで飲んで、お店で寝ちゃったのよ。置いて帰るわけにもいかないから、さっきまで私もお店にいたの」
「白蛇?」
「斑目のことよ。猿亘組の本部長。あの人、白いスーツが好きでしょう。背中の刺青が蛇だから、そういう呼び名があるの」
トーストとコーヒーの香りが立ち込める店内は、空席がカウンター席のひとつだけしかない。
龍司用にリザーブしておくべきかと実乃里が迷っていたら、ドアベルが鳴り、入ってきたのは深雪ママであった。
マスターが「どうぞ」とカウンター席に案内したので、満席になってしまった。
誰か他に帰ってくれそうな客はいないかと気にかけつつも、実乃里は水とおしぼりを深雪ママに出し、不思議に思って問いかける。
「おはようございます。こんな朝早くからご来店なんて、どうしたんですか?」
深雪ママは服装こそ夜の雰囲気を醸してセクシーゴージャスだが、かなり薄化粧である。
疲れたような顔で、もしかすると徹夜明けなのかもしれない。
カウンター裏のマスターに、ミックスサンドとコーヒーの注文を伝えた深雪ママは、実乃里に事情を話す。
「もう、嫌になっちゃうわ。昨日、白蛇が来てね、止めたのに泥酔するまで飲んで、お店で寝ちゃったのよ。置いて帰るわけにもいかないから、さっきまで私もお店にいたの」
「白蛇?」
「斑目のことよ。猿亘組の本部長。あの人、白いスーツが好きでしょう。背中の刺青が蛇だから、そういう呼び名があるの」