極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
龍司に恋をしてはいけないのだが、どうしても惹かれてしまう。
そこに彼がいると思えば、自然と目で追いたくなり、実乃里は男湯の脱衣所に振り向いた。
そして、黒いワイシャツのボタンを外している龍司を目にし、慌てて玄関の方へ顔を戻す。
(そうだった。ここは銭湯なんだから、龍司さんは服を脱ぐんだ……)
彼は服の上からでも、筋肉質の逞しい体つきをしているのがわかる。
実乃里は頭の中に彼の裸体を思い描いてしまい、顔を火照らせた。
(見てみたい……だ、駄目。痴漢になっちゃう)
欲望に負けまいと葛藤しつつ、意識は耳に集中する。
バサバサと服を脱ぎ捨てる音と、「若頭、貸切っす」「やっぱ銭湯にくるなら昼間に限りますね」と下っ端たちが楽しげに話す声。
洗面器の中のシャンプーボトルがカタカタと音を立て、浴場へ繋がるガラスの引き戸が開けられた音がした。
ペタペタとタイルを踏む数人分の足音が遠去かり、ガラス戸が閉められたら静かになる。
やっと耳から注意を引き離すことができた実乃里は、大きく息を吐き出し、湯のみの緑茶をひと口飲んだ。
(番台のアルバイトは、なかなかスリリング。危うく犯罪者になるところだったよ……)
そこに彼がいると思えば、自然と目で追いたくなり、実乃里は男湯の脱衣所に振り向いた。
そして、黒いワイシャツのボタンを外している龍司を目にし、慌てて玄関の方へ顔を戻す。
(そうだった。ここは銭湯なんだから、龍司さんは服を脱ぐんだ……)
彼は服の上からでも、筋肉質の逞しい体つきをしているのがわかる。
実乃里は頭の中に彼の裸体を思い描いてしまい、顔を火照らせた。
(見てみたい……だ、駄目。痴漢になっちゃう)
欲望に負けまいと葛藤しつつ、意識は耳に集中する。
バサバサと服を脱ぎ捨てる音と、「若頭、貸切っす」「やっぱ銭湯にくるなら昼間に限りますね」と下っ端たちが楽しげに話す声。
洗面器の中のシャンプーボトルがカタカタと音を立て、浴場へ繋がるガラスの引き戸が開けられた音がした。
ペタペタとタイルを踏む数人分の足音が遠去かり、ガラス戸が閉められたら静かになる。
やっと耳から注意を引き離すことができた実乃里は、大きく息を吐き出し、湯のみの緑茶をひと口飲んだ。
(番台のアルバイトは、なかなかスリリング。危うく犯罪者になるところだったよ……)