極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
そこからは週刊誌を膝の上でめくり、なるべく龍司を意識するまいと努める。
けれども、数分して再び男湯のガラス戸が開けられる音がして、呼ばれてしまった。
「おーい、姉ちゃん。俺のシャンプー預けてるんだわ。一尾って札がついてるやつ、持ってきてくれ」
「えっ……どこにあるんですか?」
「番台の裏の扉の中。早くな」
小高い番台の中で立ち上がった実乃里は、後ろに振り向く。
そこは戸棚になっており、両開きの木目の扉を開ければ、確かに客からの預かり物と思われるシャンプーやボディーソープのボトルが三段になって並んでいた。
一尾と書かれたプラスチックの札を首にぶら下げたシャンプーボトルは、すぐに見つかる。
それを手にした実乃里は、男湯の脱衣所に振り向いた。
「一尾さん、これ……」
一尾の小太り体型は、実乃里の興味を引くものではない。
いや、小太りではなくとも、彼女が見たいと思うのは、龍司の裸だけである。
恥ずかしさは感じずに一尾にシャンプーボトルを手渡そうとした実乃里だが、そこに彼はいなかった。
曇ったガラス戸は閉められており、一尾は浴場内で待っているようである。
ということは、実乃里は男湯の浴場へ入らねばならないようだ。
(どうしよう。堂々と龍司さんの裸を見られるチャンスだけど、恥ずかしくてどんな顔をすればいいのか……)
けれども、数分して再び男湯のガラス戸が開けられる音がして、呼ばれてしまった。
「おーい、姉ちゃん。俺のシャンプー預けてるんだわ。一尾って札がついてるやつ、持ってきてくれ」
「えっ……どこにあるんですか?」
「番台の裏の扉の中。早くな」
小高い番台の中で立ち上がった実乃里は、後ろに振り向く。
そこは戸棚になっており、両開きの木目の扉を開ければ、確かに客からの預かり物と思われるシャンプーやボディーソープのボトルが三段になって並んでいた。
一尾と書かれたプラスチックの札を首にぶら下げたシャンプーボトルは、すぐに見つかる。
それを手にした実乃里は、男湯の脱衣所に振り向いた。
「一尾さん、これ……」
一尾の小太り体型は、実乃里の興味を引くものではない。
いや、小太りではなくとも、彼女が見たいと思うのは、龍司の裸だけである。
恥ずかしさは感じずに一尾にシャンプーボトルを手渡そうとした実乃里だが、そこに彼はいなかった。
曇ったガラス戸は閉められており、一尾は浴場内で待っているようである。
ということは、実乃里は男湯の浴場へ入らねばならないようだ。
(どうしよう。堂々と龍司さんの裸を見られるチャンスだけど、恥ずかしくてどんな顔をすればいいのか……)