極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
Tシャツの袖からチラリと覗いていたので、刺青を入れていること自体は知っていたが、その全てを目にすると圧倒される。
背中の全面と、両胸から肩と上腕にかけて、日本画風の波と般若の絵柄が二色を使って彫り込まれていた。
離れた位置にいる、二山と三村の方を見れば、片胸から上腕にかけてのみであるが、ふたりにも刺青があり、実乃里を怯ませるには充分であった。
水遊びをしている彼らは、無邪気な悪ガキのようであったのに、やはり極道。
刺青には悪を貫くという、強い意志が宿っているように感じられた。
率直に怖いと感じた実乃里は、顔を強張らせるのではなく、ヘラヘラとした笑みを浮かべる。
こちらに敵意はないから攻撃しないでという気持ちが、無意識に表れたのだ。
さらには「素敵な彫り物ですね」と余計なことまで言ってしまい、自ら会話を広げていた。
気をよくした一尾は、プヨプヨした腕を曲げてボディビルダーのようなポーズを取ると、刺青の自慢をし始める。
「般若の面には、激情や勇気っていう意味があるんだぞ。こいつを彫るのに丸二日、百五十万もかかった。いい仕上がりだろ?」
「そ、そうなんですか。すごい迫力です……」
近づいてきた二山と三村も会話に加わり、刺青自慢と講釈が始まってしまう。
実乃里にとっては望まぬ状況であるけれど、自ら振ってしまった話題なので、笑顔で相槌を打ち続けるしかなかった。
そうしながらも気になるのは、視界の端に映る龍司である。
(龍司さんも刺青があるのかな? きっとあるよね。若頭だもの。名前のように、龍の彫り物が背中にドンと入っていそう……)
背中の全面と、両胸から肩と上腕にかけて、日本画風の波と般若の絵柄が二色を使って彫り込まれていた。
離れた位置にいる、二山と三村の方を見れば、片胸から上腕にかけてのみであるが、ふたりにも刺青があり、実乃里を怯ませるには充分であった。
水遊びをしている彼らは、無邪気な悪ガキのようであったのに、やはり極道。
刺青には悪を貫くという、強い意志が宿っているように感じられた。
率直に怖いと感じた実乃里は、顔を強張らせるのではなく、ヘラヘラとした笑みを浮かべる。
こちらに敵意はないから攻撃しないでという気持ちが、無意識に表れたのだ。
さらには「素敵な彫り物ですね」と余計なことまで言ってしまい、自ら会話を広げていた。
気をよくした一尾は、プヨプヨした腕を曲げてボディビルダーのようなポーズを取ると、刺青の自慢をし始める。
「般若の面には、激情や勇気っていう意味があるんだぞ。こいつを彫るのに丸二日、百五十万もかかった。いい仕上がりだろ?」
「そ、そうなんですか。すごい迫力です……」
近づいてきた二山と三村も会話に加わり、刺青自慢と講釈が始まってしまう。
実乃里にとっては望まぬ状況であるけれど、自ら振ってしまった話題なので、笑顔で相槌を打ち続けるしかなかった。
そうしながらも気になるのは、視界の端に映る龍司である。
(龍司さんも刺青があるのかな? きっとあるよね。若頭だもの。名前のように、龍の彫り物が背中にドンと入っていそう……)