極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
男性に免疫がないのはその通り。

生まれてこの方、男性と交際したことがない実乃里である。

童顔も自覚するところだが、気にしている分、子供扱いされるとついムキになってしまう。


「私は二十三です。成人してますし、独り暮らしで自分の稼ぎのみで生活しています。お金が貯まったら、自分のカフェを開く予定でもあります。私は立派な“大人”なんです!」


今だけ怯えを忘れた実乃里は、腰に手を当てて、大人であることを強調して主張した。

それが余計に彼らのツボにはまったらしく、ギャハハと笑いながら、からかいの程度を引き上げてしまった。


「大人なら、問題ないよな。俺の一番の自慢は、ここのデカさなんだ。見たいだろ?」


二山が腰に巻いたタオルを外そうとしており、実乃里は両手で顔を覆った。


「どうした、姉ちゃん。男に免疫ある大人だって言ってなかったか?」

「大人ですけど、免疫は……キャッ!」


目を隠していた手をニヤニヤした一尾に外されて、実乃里は短い悲鳴をあげた。

男性経験のない彼女なので、この事態をかわす術を持ち合わせておらず、焦りと動揺の中で強く目を瞑る。


すると、「やめろ」という低い声が響いた。

それは龍司の声で、「すんません!」と下っ端たちは口々に謝り、すぐに実乃里から手を離す。

そっと目を開けて湯船の方を見れば、それまで無関心であった龍司が、湯の中で身を起こし、横目でこちらを睨んでいた。

彼の広い背中の半分と、左肩と腕が見えている。

助けてくれたことに驚き胸を熱くして喜んだ実乃里だが、その直後に『あれ?』と心の中で呟いた。


(刺青がない。どうして……?)


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