極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
若頭ならば、一尾のものより圧倒的な彫り物が施されていそうな気がしていた。
それなのに見えている範囲の肌は滑らかな小麦色で、逞しい筋肉質の魅力的な体つきであるだけだ。
「龍司さん、刺青をされていないんですね……」
疑問がうっかり口をついて出て、龍司の視線に鋭さが増した。
余計なことを言ってしまったと気づいて焦る実乃里は、「ごめんなさい!」と謝ってから自分の口を塞ぐ。
龍司はなにも言わず、銭湯絵に視線を戻してしまった。
自分たちが強く叱られずに済んだことに感謝してなのか、眉を下げた実乃里を下っ端たちがフォローする。
「若頭は刺青できない体質で……」と、一尾が声を落として教えてくれた。
それによると、若い頃に墨を入れようとしてアナフィラキシーショックを起こし、死にかけたのだとか。
箔をつけるためにと刺青を勧めてくる者がいても、龍司はそう説明して断ってきたらしい。
アレルギーなら仕方ないと、相手方も納得してくれるそうだ。
「そうなんですか……」
もしかすると、真夏でもTシャツやタンクトップではなく、黒い長そでワイシャツの袖を折り返して着ている理由は、彫り物がないことを指摘されたくないせいではないだろうか。
実乃里が最初に思ったように、若頭なのに刺青がないことを不思議に思い、尋ねる者もいるのかもしれない。
その度にアレルギーについて説明するのは、億劫であろう。
それなのに見えている範囲の肌は滑らかな小麦色で、逞しい筋肉質の魅力的な体つきであるだけだ。
「龍司さん、刺青をされていないんですね……」
疑問がうっかり口をついて出て、龍司の視線に鋭さが増した。
余計なことを言ってしまったと気づいて焦る実乃里は、「ごめんなさい!」と謝ってから自分の口を塞ぐ。
龍司はなにも言わず、銭湯絵に視線を戻してしまった。
自分たちが強く叱られずに済んだことに感謝してなのか、眉を下げた実乃里を下っ端たちがフォローする。
「若頭は刺青できない体質で……」と、一尾が声を落として教えてくれた。
それによると、若い頃に墨を入れようとしてアナフィラキシーショックを起こし、死にかけたのだとか。
箔をつけるためにと刺青を勧めてくる者がいても、龍司はそう説明して断ってきたらしい。
アレルギーなら仕方ないと、相手方も納得してくれるそうだ。
「そうなんですか……」
もしかすると、真夏でもTシャツやタンクトップではなく、黒い長そでワイシャツの袖を折り返して着ている理由は、彫り物がないことを指摘されたくないせいではないだろうか。
実乃里が最初に思ったように、若頭なのに刺青がないことを不思議に思い、尋ねる者もいるのかもしれない。
その度にアレルギーについて説明するのは、億劫であろう。