極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
実乃里が案内する前に、彼は空いたばかりのテーブル席に腰を下ろした。
すると後ろの席に座っていた靴屋の中本が、「読むかい?」とイケメンに声をかけて新聞を差し出している。
「ああ」とひと言だけでお礼は言わず、偉そうに足を組んで新聞を受け取る彼。
息子ほどの年の彼に横柄な態度を取られても中本はまったく気にする様子はなく、むしろ誇らしげに見えた。
それをなぜだろうと疑問に思いながら、実乃里はグラスに水を注いでイケメンの元へ運ぶ。
けれども答えを推測しないうちに注文されたので、疑問自体をすぐに忘れてしまった。
「ブレンドコーヒーと卵サンド。胡椒とマスタード抜きで」
疲れているようにも感じる低い声にも、大人の色香が滲んでいる気がする。
胸を高鳴らせて注文をメモした実乃里は、これまで彼を接客した二回とまったく同じ注文であることに気づく。
きっと彼も、ここの常連なのだろう。
メニュー表を開かないことから、それしか食べる気がないように思われた。
(卵が好きで、辛いものが苦手なのかな。ちょと怖そうな見た目なのに、ギャップが可愛い……)
そんなところも好みに合致して、実乃里はウキウキと心を弾ませる。
「かしこまりました。少々お待ちください」と一礼し、トレーを胸に抱いてカウンター裏へ戻った。
「マスター、ブレンドコーヒー入りました。洋子さん、卵サンドひとつ。胡椒とマスタード抜きでお願いします」
すると後ろの席に座っていた靴屋の中本が、「読むかい?」とイケメンに声をかけて新聞を差し出している。
「ああ」とひと言だけでお礼は言わず、偉そうに足を組んで新聞を受け取る彼。
息子ほどの年の彼に横柄な態度を取られても中本はまったく気にする様子はなく、むしろ誇らしげに見えた。
それをなぜだろうと疑問に思いながら、実乃里はグラスに水を注いでイケメンの元へ運ぶ。
けれども答えを推測しないうちに注文されたので、疑問自体をすぐに忘れてしまった。
「ブレンドコーヒーと卵サンド。胡椒とマスタード抜きで」
疲れているようにも感じる低い声にも、大人の色香が滲んでいる気がする。
胸を高鳴らせて注文をメモした実乃里は、これまで彼を接客した二回とまったく同じ注文であることに気づく。
きっと彼も、ここの常連なのだろう。
メニュー表を開かないことから、それしか食べる気がないように思われた。
(卵が好きで、辛いものが苦手なのかな。ちょと怖そうな見た目なのに、ギャップが可愛い……)
そんなところも好みに合致して、実乃里はウキウキと心を弾ませる。
「かしこまりました。少々お待ちください」と一礼し、トレーを胸に抱いてカウンター裏へ戻った。
「マスター、ブレンドコーヒー入りました。洋子さん、卵サンドひとつ。胡椒とマスタード抜きでお願いします」