極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
実乃里はカウンター脇に突っ立ったまま、固唾をのんで彼らを見守っている。
(龍司さんが若頭に就任した経緯に、この刑事さんが関わっていたんだ……)
先代若頭の八田部という人がなんらかの容疑で杉谷に逮捕され、今は刑務所の中にいるらしい。
龍司は留守を守る意味合いで、若頭に就任したようだ。
八田部が刑期を終えて出所したら、若頭の地位を返すというから、心から慕っているのだろう。
もしかすると杉谷に対して必要以上に敵意むき出しな態度でいるのは、兄貴分の八田部を奪われたという恨みがあるからなのかもしれない。
そうでなければ、いつもは寡黙でクールな龍司がこんな風に食ってかかるのは不思議だ。
杉谷が二本目の煙草を深く吸い、半分ほどの長さになったそれを灰皿に押しつけた。
そして肺に溜めた煙を、龍司の顔めがけて吹きかける。
「野郎……」
明らかな挑発に、龍司の怒りは頂点に達したらしく、杉谷の胸ぐらを左手で掴んだ。
右手の拳は宙に振り上げ、今にも殴りそうである。
「若頭!」
下っ端三人が慌てて駆け寄り、龍司の腕や腰にしがみついて攻撃させまいとする。
刑事を殴れば、現行犯逮捕されても文句は言えない。
たとえ挑発してきたのが杉谷の方でも、手を出しては負けである。
(龍司さんが若頭に就任した経緯に、この刑事さんが関わっていたんだ……)
先代若頭の八田部という人がなんらかの容疑で杉谷に逮捕され、今は刑務所の中にいるらしい。
龍司は留守を守る意味合いで、若頭に就任したようだ。
八田部が刑期を終えて出所したら、若頭の地位を返すというから、心から慕っているのだろう。
もしかすると杉谷に対して必要以上に敵意むき出しな態度でいるのは、兄貴分の八田部を奪われたという恨みがあるからなのかもしれない。
そうでなければ、いつもは寡黙でクールな龍司がこんな風に食ってかかるのは不思議だ。
杉谷が二本目の煙草を深く吸い、半分ほどの長さになったそれを灰皿に押しつけた。
そして肺に溜めた煙を、龍司の顔めがけて吹きかける。
「野郎……」
明らかな挑発に、龍司の怒りは頂点に達したらしく、杉谷の胸ぐらを左手で掴んだ。
右手の拳は宙に振り上げ、今にも殴りそうである。
「若頭!」
下っ端三人が慌てて駆け寄り、龍司の腕や腰にしがみついて攻撃させまいとする。
刑事を殴れば、現行犯逮捕されても文句は言えない。
たとえ挑発してきたのが杉谷の方でも、手を出しては負けである。