極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
カラオケが大音量で流れる店内にオードブルを届け、配達を終えた実乃里は来た道を引き返す。
片道一車線の道路沿いを歩いていると、前から来た男子高校生と思われる制服姿の三人組に声をかけられた。
「可愛いじゃん。どこの高校? 今、暇?」
「暇じゃないですし、私は高校生ではありません」
可愛いと言われても、実乃里は少しも喜べない。
童顔を気にしている彼女にとって、高校生に間違われることは屈辱である。
「二十三歳の大人ですから」と主張して、早足で先を急げば、「なんだババアかよ」と笑う彼らの声が後ろに聞こえた。
(高校生からしたら、二十三歳はおばさんなの!? それも嫌だな……)
後ろを気にして歩いていたため、実乃里はなにかにぶつかってしまった。
それは自転車で、建物寄りの道端に数台並べて駐輪されているのを、ドミノ式に倒してしまったのだ。
慌てて自転車を一台一台起こしていると、すぐ横の建物の自動扉が開いて、男性ふたりが出てくる。
ひとりはドクロがプリントされた黒いTシャツ姿で、もうひとりはアロハシャツを着ている。
見るからに人相の悪い若者であった。
一尾たちともまた違う雰囲気で、ヤクザというよりは、ヤンキー上がりのチンピラといった方が似合うだろう。
アロハシャツの男は「やっとギプスから解放されたわ。ひと月はなげーな」と腕をさすっており、ドクロTシャツの男が舌打ちしてそれに答える。
「俺はまだ脱臼させられた肩がいてーよ。もう通院いらないと言われたけどよ、マジいてーわ」
片道一車線の道路沿いを歩いていると、前から来た男子高校生と思われる制服姿の三人組に声をかけられた。
「可愛いじゃん。どこの高校? 今、暇?」
「暇じゃないですし、私は高校生ではありません」
可愛いと言われても、実乃里は少しも喜べない。
童顔を気にしている彼女にとって、高校生に間違われることは屈辱である。
「二十三歳の大人ですから」と主張して、早足で先を急げば、「なんだババアかよ」と笑う彼らの声が後ろに聞こえた。
(高校生からしたら、二十三歳はおばさんなの!? それも嫌だな……)
後ろを気にして歩いていたため、実乃里はなにかにぶつかってしまった。
それは自転車で、建物寄りの道端に数台並べて駐輪されているのを、ドミノ式に倒してしまったのだ。
慌てて自転車を一台一台起こしていると、すぐ横の建物の自動扉が開いて、男性ふたりが出てくる。
ひとりはドクロがプリントされた黒いTシャツ姿で、もうひとりはアロハシャツを着ている。
見るからに人相の悪い若者であった。
一尾たちともまた違う雰囲気で、ヤクザというよりは、ヤンキー上がりのチンピラといった方が似合うだろう。
アロハシャツの男は「やっとギプスから解放されたわ。ひと月はなげーな」と腕をさすっており、ドクロTシャツの男が舌打ちしてそれに答える。
「俺はまだ脱臼させられた肩がいてーよ。もう通院いらないと言われたけどよ、マジいてーわ」