極艶恋～若頭は一途な愛を貫く～
その会話を聞いて建物を見た実乃里は、整形外科の病院であることに気づく。

外来だけの診療所で、こじんまりとしており、ロイヤルの常連客が慢性腰痛のリハビリで、ここに通っていると話していたことを思い出した。


（この人たち、やっと治ったところのようだけど、喧嘩で怪我したのかな。怖そうな顔をしてるから、関わりたくない……）


もしや倒してしまった自転車の持ち主ではないかとヒヤリとしたが、どうやら違うようだ。

彼らは実乃里に構わず、診療所のすぐ前にあるバス停に並び、怪我をした時のことについて不愉快そうに話しだす。


「ゲーセンに因縁つけて金巻き上げようとしたくらいで、普通、骨まで折るか？」

「マジ殺されると思ったわ。タカリと恐喝くらいしかやらねー俺らみたいな善良な半グレに、あそこまでやる必要ねーだろ」


実乃里は自転車を全て直したが、その場を立ち去らずに、バス待ちをしている彼らの背中を見つめて首を傾げる。

言ってることが滅茶苦茶だと指摘したいわけではなく、ゲームセンターに迷惑をかけて誰かに退治されたというような話の内容が引っかかったのだ。


（それって、もしかして……）


< 61 / 213 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop