極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
猿亘組が陰でどんな資金稼ぎをしているのか実乃里はわからないが、一般的に“フロント企業”と呼ばれる会社を経営しているそうだ。
リフォーム関係の会社だと、以前マスターが教えてくれた。
そのリフォーム会社の経営に、龍司が深く関与していることを半グレの男たちは知っているようで、会社から出てきたところの龍司に集団で襲いかかるという恐ろしい計画を立てていた。
それを聞いた実乃里は、驚き焦る。
(大変な話を聞いちゃった。龍司さんに知らせないと……)
ゆっくりとその場を離れた実乃里は、診療所と隣の建物の間の、両腕を広げたほどの幅しかない狭い隙間に入り込む。
夕日は届かずジメジメとしたその場所で、通りに背を向け、ポケットからスマホを取り出した。
彼らがいつ計画を実行に移すのかわからないので、できるだけ早く知らせなければと、実乃里は焦っている。
そして龍司の連絡先を開こうとして、登録していないことにハッと気づいた。
「一度も電話したことがないのに、入ってるわけないでしょ。じゃあ、猿亘組の事務所に電話して……ああっ! それも登録してないよ。だって配達以外で用事がないもの。どうしよう……そうだ、マスターから事務所に電話してもらって、龍司さんに襲撃の話を伝えてもらえば……」
リフォーム関係の会社だと、以前マスターが教えてくれた。
そのリフォーム会社の経営に、龍司が深く関与していることを半グレの男たちは知っているようで、会社から出てきたところの龍司に集団で襲いかかるという恐ろしい計画を立てていた。
それを聞いた実乃里は、驚き焦る。
(大変な話を聞いちゃった。龍司さんに知らせないと……)
ゆっくりとその場を離れた実乃里は、診療所と隣の建物の間の、両腕を広げたほどの幅しかない狭い隙間に入り込む。
夕日は届かずジメジメとしたその場所で、通りに背を向け、ポケットからスマホを取り出した。
彼らがいつ計画を実行に移すのかわからないので、できるだけ早く知らせなければと、実乃里は焦っている。
そして龍司の連絡先を開こうとして、登録していないことにハッと気づいた。
「一度も電話したことがないのに、入ってるわけないでしょ。じゃあ、猿亘組の事務所に電話して……ああっ! それも登録してないよ。だって配達以外で用事がないもの。どうしよう……そうだ、マスターから事務所に電話してもらって、龍司さんに襲撃の話を伝えてもらえば……」