極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
それまで呑気に談笑していた彼らが一斉に立ち上がり、鉄パイプや金属バット、ナイフを手にして急に緊張感を漂わせた。
リーダー格と思われるのは、白いシャツにグレーのストレートパンツ穿き、小綺麗な身なりをした黒髪の男で、年齢は三十代前半に見える。
眼鏡をかけて細身の体格をし、ひとりだけサラリーマンをしていそうな普通の容姿に見えるのに、柄の悪い男たちを従えているのが余計に怖い。
リーダー格の男が嘲笑う。
「律儀にひとりで来たとは、馬鹿な奴だ。拳銃やナイフを隠し持っていないか確認してから連れて来い」
「はい、わかりました」
案内役の若者が外に出ていき、半グレの男たちが準備運動を始めるかのように鉄パイプや金属製のバットを振り回す中、実乃里は信じられない思いでいた。
(龍司さんが私を助けに来たって……本当に? 私はただの近所の喫茶店のバイトだよ? 会話したことも少ないし、助ける義理なんかないでしょう)
鼓動が勝手に速まり、期待してしまう自分もいるが、別人ではないかと怪しんでもいる。
同時に、もし本物の龍司が現れたのなら、それはそれで由々しき事態だという焦りも湧く。
相手を傷つける気が満々な悪党集団に、ひとりで立ち向かうとは無謀である。
怪我では済まず、命の危険があるかもしれないのだ。
リーダー格と思われるのは、白いシャツにグレーのストレートパンツ穿き、小綺麗な身なりをした黒髪の男で、年齢は三十代前半に見える。
眼鏡をかけて細身の体格をし、ひとりだけサラリーマンをしていそうな普通の容姿に見えるのに、柄の悪い男たちを従えているのが余計に怖い。
リーダー格の男が嘲笑う。
「律儀にひとりで来たとは、馬鹿な奴だ。拳銃やナイフを隠し持っていないか確認してから連れて来い」
「はい、わかりました」
案内役の若者が外に出ていき、半グレの男たちが準備運動を始めるかのように鉄パイプや金属製のバットを振り回す中、実乃里は信じられない思いでいた。
(龍司さんが私を助けに来たって……本当に? 私はただの近所の喫茶店のバイトだよ? 会話したことも少ないし、助ける義理なんかないでしょう)
鼓動が勝手に速まり、期待してしまう自分もいるが、別人ではないかと怪しんでもいる。
同時に、もし本物の龍司が現れたのなら、それはそれで由々しき事態だという焦りも湧く。
相手を傷つける気が満々な悪党集団に、ひとりで立ち向かうとは無謀である。
怪我では済まず、命の危険があるかもしれないのだ。