極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
「場所を吐かせてから、外に転がしといた。一時間もすれば勝手に目覚めるだろう。心配いらない。痛みで数日は動けないかもしれないがな」

「まさかお前、撃ったんじゃ……」

「この通り丸腰だ。銃やナイフを所持してはならないという条件を守ってやったぞ。素手で殴るなとは書いていなかったから、問題ないだろ」


龍司は両腕を上げて、脇にも武器を隠していないことを見せていた。


「何発殴らせてやれば、その娘を放す? それとも金か?」


龍司の声は淡々として落ち着いており、真面目に交渉しているつもりなのだろう。

けれども見下されていると感じたのか、「舐めくさりやがって……」とリーダー格の男がギリリと歯噛みした。

それに呼応するように、半グレ集団が鉄パイプなどを握る手に力を込める様子が、実乃里のいる位置からでも確認できた。

今にも龍司に襲いかかりそうな男たちを見て、彼女は恐怖に震える。


(こんな人数相手に、殴らせてやるだなんて、死んじゃうよ……)

「龍司さん、逃げてください!」


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