極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
龍司は実乃里の肩に回している左手で、彼女の頭をくしゃくしゃと撫でた。
大きな手のひらは温かく、優しさも感じ、彼がヤクザでなかったなら、実乃里はどっぷりと恋に溺れていることだろう。
車は細道を抜けて国道に入り、真夜中の空いている車線を快調に飛ばしている。
それまで会話したり笑ったりしていた一尾たち三人は、なぜか無言である。
一尾はスマホをいじり出し、後部席の三村はわざとらしいあくびをして居眠り……ではなく、狸寝入りを始めたようだ。
それはおそらく、実乃里を抱いている龍司への気遣いであろう。
車内に龍司の低い声が静かに響く。
「今日はすまなかったな。奴らはおそらく、俺がロイヤルに通っていると知って、お前を狙ったんだろう。今後、ロイヤルには行かない方がいいな」
半グレの男たちに拉致されたのは、実乃里が彼らの会話を偶然聞いてしまったことが発端である。
龍司はその事情を知らないらしく、勝手な推測をして実乃里に謝り、ロイヤルには顔を出さないと結論を出してしまった。
それは実乃里の望まぬことであり、彼の胸から慌てて顔を上げると、整形外科前での出来事を説明して誤解を解き、それから頼み込む。
大きな手のひらは温かく、優しさも感じ、彼がヤクザでなかったなら、実乃里はどっぷりと恋に溺れていることだろう。
車は細道を抜けて国道に入り、真夜中の空いている車線を快調に飛ばしている。
それまで会話したり笑ったりしていた一尾たち三人は、なぜか無言である。
一尾はスマホをいじり出し、後部席の三村はわざとらしいあくびをして居眠り……ではなく、狸寝入りを始めたようだ。
それはおそらく、実乃里を抱いている龍司への気遣いであろう。
車内に龍司の低い声が静かに響く。
「今日はすまなかったな。奴らはおそらく、俺がロイヤルに通っていると知って、お前を狙ったんだろう。今後、ロイヤルには行かない方がいいな」
半グレの男たちに拉致されたのは、実乃里が彼らの会話を偶然聞いてしまったことが発端である。
龍司はその事情を知らないらしく、勝手な推測をして実乃里に謝り、ロイヤルには顔を出さないと結論を出してしまった。
それは実乃里の望まぬことであり、彼の胸から慌てて顔を上げると、整形外科前での出来事を説明して誤解を解き、それから頼み込む。