極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
いつか自分のカフェを持つという夢がある実乃里は、資金を貯めつつ勉強のつもりで、あちこちの店を渡り歩いている。
ひとつの店で働く期間は、長くても三カ月。平均すると、ひと月半ほどである。
そしてロイヤルに来てから、ひと月半が経過していた。
辞め時だと思うのだが、龍司の顔が頭に浮かんで迷いが生じる。
(龍司さんに会えなくなるのは、嫌だな……)
実乃里がしんみりと考え込んでいると、調理場のオーブンが鳴り、ピザの焼き上がりを告げた。
洋子が調理場に戻って、焼き立てのピザを配達用の紙箱に入れている。
小袋のタバスコを三つ添えたLサイズのピザの箱は、実乃里に「はい」と渡された。
配達の注文が入っていることは前もって聞いていたので、実乃里は頷いてそれを受け取る。
エプロンを脱いで薄手のカーディガンを羽織り、会計用のウエストポーチを腰につけると、「行ってきます」と店を出た。
配達先は、初めての場所。
歩いて六分ほどの場所にある、伊藤商会という、なにを取り扱っているのかわからない小さなオフィスである。
その会社は商業ビルの三階に入っているそうで、建物自体の場所は把握していた。
ひとつの店で働く期間は、長くても三カ月。平均すると、ひと月半ほどである。
そしてロイヤルに来てから、ひと月半が経過していた。
辞め時だと思うのだが、龍司の顔が頭に浮かんで迷いが生じる。
(龍司さんに会えなくなるのは、嫌だな……)
実乃里がしんみりと考え込んでいると、調理場のオーブンが鳴り、ピザの焼き上がりを告げた。
洋子が調理場に戻って、焼き立てのピザを配達用の紙箱に入れている。
小袋のタバスコを三つ添えたLサイズのピザの箱は、実乃里に「はい」と渡された。
配達の注文が入っていることは前もって聞いていたので、実乃里は頷いてそれを受け取る。
エプロンを脱いで薄手のカーディガンを羽織り、会計用のウエストポーチを腰につけると、「行ってきます」と店を出た。
配達先は、初めての場所。
歩いて六分ほどの場所にある、伊藤商会という、なにを取り扱っているのかわからない小さなオフィスである。
その会社は商業ビルの三階に入っているそうで、建物自体の場所は把握していた。