極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
「先週いらしてくださったお客様ですよね?」と実乃里が問いかければ、相手は喜んだ。
「一度しか行ったことがないのに、覚えてるんですか。すごい記憶力」と褒めてもくれる。
もう一方のOLはピザの箱を応接テーブルへと運んで、「皆さん、温かいうちに食べましょう」と声をかけている。
他の社員たちが仕事の手を止め、テーブルに向かっているが、実乃里の前にいる彼女だけは、まだ会話を終わらせようとしない。
「あの日に一緒にいたのは、彼氏なんですけど……」と、なぜか実乃里を相手に彼氏がいかに素敵な人であるかを自慢し始める。
(もしかして付き合い立てで、誰かに話したくて仕方ないのかな。同僚たちは聞き飽きて構ってくれないから、私にその話を? 友達じゃなく、ただのピザの配達人なんですけど……)
「今度の土曜日に花火大会があるでしょう? 荒川の」
「はい、そうですね。毎年、激混みのやつですよね。彼氏さんと行くんですか?」
「行きたいのに彼氏が仕事で、その日は駄目なんです。このビルの屋上が穴場なのに、とっても残念」
「一度しか行ったことがないのに、覚えてるんですか。すごい記憶力」と褒めてもくれる。
もう一方のOLはピザの箱を応接テーブルへと運んで、「皆さん、温かいうちに食べましょう」と声をかけている。
他の社員たちが仕事の手を止め、テーブルに向かっているが、実乃里の前にいる彼女だけは、まだ会話を終わらせようとしない。
「あの日に一緒にいたのは、彼氏なんですけど……」と、なぜか実乃里を相手に彼氏がいかに素敵な人であるかを自慢し始める。
(もしかして付き合い立てで、誰かに話したくて仕方ないのかな。同僚たちは聞き飽きて構ってくれないから、私にその話を? 友達じゃなく、ただのピザの配達人なんですけど……)
「今度の土曜日に花火大会があるでしょう? 荒川の」
「はい、そうですね。毎年、激混みのやつですよね。彼氏さんと行くんですか?」
「行きたいのに彼氏が仕事で、その日は駄目なんです。このビルの屋上が穴場なのに、とっても残念」