極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
ハッとして妄想世界から抜け出した実乃里は、恥ずかしさに頬を染めて「ありがとうございました。またお願いします」と頭を下げる。
そして逃げるようにオフィスを出た。
廊下は無人で、静かだ。
エレベーターまで引き返した実乃里は、その横にある薄暗い階段に視線を止めた。
(下見しておこうかな。どんな場所かを知っておかないと、穴場だと誘いにくいし……)
一階分を階段で上がり、屋上に繋がる扉の前に立った。
所々、塗装の剥げた鉄製のドアには、施錠中という張り紙がされており、実乃里は首を傾げる。
いつでも鍵は開いていると聞いたのに、どういうことかと思いつつ試しにドアノブを回してみたら、すんなりと開いた。
回した感覚から、ドアの鍵が壊れているのではないかと推測する。
施錠中の張り紙をしておけば勝手に屋上に出る人はいないと、管理者が修理を怠っているのかもしれない。
本来は部外者が立ち入ってはいけないのだろうと判断した実乃里だが、龍司と花火見物をしたいという欲求に負けて、ドアを三分の一ほどそっと押し開ける。
その隙間にコソ泥のように身を滑り込ませ、注意深く音を立てないようにドアを閉めた。
明るい光が降り注ぐ屋上に人の気配はなく、実乃里はすぐに気を緩める。
目についたものはコンビニ弁当の容器や、お菓子の空袋、ペットボトルなどのゴミ。
ゴミは持ち帰ってと思いながら、実乃里はフェンスまで進んで荒川の方角を見た。
そして逃げるようにオフィスを出た。
廊下は無人で、静かだ。
エレベーターまで引き返した実乃里は、その横にある薄暗い階段に視線を止めた。
(下見しておこうかな。どんな場所かを知っておかないと、穴場だと誘いにくいし……)
一階分を階段で上がり、屋上に繋がる扉の前に立った。
所々、塗装の剥げた鉄製のドアには、施錠中という張り紙がされており、実乃里は首を傾げる。
いつでも鍵は開いていると聞いたのに、どういうことかと思いつつ試しにドアノブを回してみたら、すんなりと開いた。
回した感覚から、ドアの鍵が壊れているのではないかと推測する。
施錠中の張り紙をしておけば勝手に屋上に出る人はいないと、管理者が修理を怠っているのかもしれない。
本来は部外者が立ち入ってはいけないのだろうと判断した実乃里だが、龍司と花火見物をしたいという欲求に負けて、ドアを三分の一ほどそっと押し開ける。
その隙間にコソ泥のように身を滑り込ませ、注意深く音を立てないようにドアを閉めた。
明るい光が降り注ぐ屋上に人の気配はなく、実乃里はすぐに気を緩める。
目についたものはコンビニ弁当の容器や、お菓子の空袋、ペットボトルなどのゴミ。
ゴミは持ち帰ってと思いながら、実乃里はフェンスまで進んで荒川の方角を見た。