極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
猿亘組の若頭が、なぜ刑事から指示を受けているのか……。
わけがわからず頭が混乱してきた実乃里は、覗かせていた顔を給水タンクの陰に引っ込める。
こんな場所で密会しているのだから、おそらく彼らは誰かに聞かれては困る会話をしているのだろう。
それだけは、実乃里にも理解できた。
盗み聞きに気づかれないうちに出ていかなければと、実乃里は片足を引く。
すると、足元に落ちていたスナック菓子の空袋を踏んでしまい、カサリと音を立ててしまった。
しまったと思うが否や、「誰だ!」という鋭い声がして、給水タンクの裏側に龍司が飛び込むようにして現れる。
実乃里を見た彼は意表を突かれたように眉を上げたが、すぐに瞳に険しさを取り戻し、彼女の手首を捕まえた。
「お前がなぜここにいる。まさか、俺の後をつけて来たんじゃないだろうな」
「ち、違います。私は偶然ピザの配達でここに。屋上にいるのは花火が、ええと……」
「花火?」
龍司に睨まれた実乃里は、うまく説明できずに焦るばかり。
すると、「こっちに連れてこい」と、フェンスの方から杉谷の声がした。
わけがわからず頭が混乱してきた実乃里は、覗かせていた顔を給水タンクの陰に引っ込める。
こんな場所で密会しているのだから、おそらく彼らは誰かに聞かれては困る会話をしているのだろう。
それだけは、実乃里にも理解できた。
盗み聞きに気づかれないうちに出ていかなければと、実乃里は片足を引く。
すると、足元に落ちていたスナック菓子の空袋を踏んでしまい、カサリと音を立ててしまった。
しまったと思うが否や、「誰だ!」という鋭い声がして、給水タンクの裏側に龍司が飛び込むようにして現れる。
実乃里を見た彼は意表を突かれたように眉を上げたが、すぐに瞳に険しさを取り戻し、彼女の手首を捕まえた。
「お前がなぜここにいる。まさか、俺の後をつけて来たんじゃないだろうな」
「ち、違います。私は偶然ピザの配達でここに。屋上にいるのは花火が、ええと……」
「花火?」
龍司に睨まれた実乃里は、うまく説明できずに焦るばかり。
すると、「こっちに連れてこい」と、フェンスの方から杉谷の声がした。