嘘つき旦那様と初めての恋を何度でも
寝ていてもいい。
彼の本当の気持ち、想いが知りたかった。
記憶の前の事も、そして、一緒だった女の人の事も。
「…………あの女の人は誰?」
記憶の事は1度聞いているけれど、答えてくれなかったので、今は教えてくれるつもりはないのだろう。忘れていい記憶とは何なのかは気になるけれど、寝ている泉に今1番気になる事を聞いてみる。
もちろん、答えなど帰ってくるはずもない。
緋色は、そんな臆病な自分に苦笑しながら。彼の唇から手を離した。
そして、彼を起こそうと思っていたけど、それより先に緋色の手首を泉が掴んだ。
「ねぇ、キスしてくれないの?」
「…………っっ……………!!」
寝ていたと思った相手に、突然手を掴まれ、そして声を掛けられたのだ。緋色は体が飛び上がるぐらいに驚いてしまった。けれど、そんな緋色におかまいなしに更に言葉を投げ掛ける。