嘘つき旦那様と初めての恋を何度でも
「話しが逸れてしまいましたが……。空手家としてではなく、作家として。あなたと結婚するのに相応しくはないですか?」
「そ、それは………。」
泉の才能や社会的地位はかなり高い方だろう。どちらかというと、緋色の方が低いと思ってしまうぐらいだった。
緋色が知らないだけで、空手の選手としては有名なのだろう。モデルのような外見で、しかも世界の舞台で戦えるぐらい強いというのは、女性の注目の的になるはずだ。
それに、作家である白碧蒼は、泉は有名ではないと話していたが、かなり人気のある作家だった。日本風な名前とは違って、魔法やドラゴンなどが出てくるファンタジー小説が有名な作家だった。緋色は、かなりの読書家でファンタジー小説が1番好きだった。そのため、白碧蒼は当然知っている作家だった。
そんなすごい人が、自分に結婚を申し込むなど、おかしな話だと緋色は思ってしまう。お金も地位も、泉は持っているはずなので、父親の財産目当てではないだろう。
それに、緋色の家柄は確かに社長令嬢かもしれない。けれど、それは実家であるし、緋色自身は中小企業の会社の事務でしかなく、給料だってあまり良くない。そんな緋色と結婚したい理由がわからなかった。
緋色はしばらく考えた後に、彼の問い掛けに返事をした。
駆け引きは苦手なので、思ったことを伝えよう。そう思った。