嘘つき旦那様と初めての恋を何度でも
「楪家は確かに会社を経営していますが、父親が1代で築き上げたまだ小さな会社です。そんな小さな会社社長の娘と、あなたのような優秀な方が結婚するメリットがわからないのです。楪家として泉さんと結婚する方がメリットは大きいと思うのです。」
緋色は自分の手を合わせてギュッと握りながら、彼に思いを伝えた。
目の前の彼には、どう伝わるだろうか?
逆に利用されるのなら嫌だと思ってしまうだろうか。そんなに小さな会社ならば断られてしまうだろうか。
そんな風に考えていた。
そこまで考えて、緋色は自分の思いにハッとした。
いつの間には、自分は泉に結婚する事を取り消しにされるのを怖がっているのだ。彼が「やはり結婚の話はなかった事にしましょう。」と返事をされるのではないかと、ビクビクしているのだ。
それが意味することはただ1つだ。
緋色は、彼が気になり始めているのだ。