嘘つき旦那様と初めての恋を何度でも
彼女は過去を知りたがっている。
自分の事を知ろうとしてくれている。
それなのに、嘘をついてまで彼女に秘密にしなければいけないのだろうか。
彼女がまた苦しみ、悲しみのならば、自分が隣にいて抱きしめ支えてあげればいいのではないか。そのために、泉はまた彼女の隣りに居る事を決めたのだから。
泉は、グッと力を入れて手を握りしめる。
すると、左手に冷たい感触を感じた。
彼女とお揃いの結婚指輪だった。
「早く彼女を見つけないと…………。」
泉はスマホをつけて、彼女の場所を探そうとした。きっと、そう遠くには行っていないはずだと思った。
「もう、君に嘘はつかない。だから無事でいてくれ。」
泉は、夜の街を颯爽と走り、緋色を見つけるべく、繁華街を目指したのだった。