嘘つき旦那様と初めての恋を何度でも
「おい、早く車に乗れ!逃げるぞっ!女は置いてけっ」
「わかってるっ!」
「待て!逃げるな!」
銀髪の男が車に乗り込んだ途端に、白のワンボックスカ―は勢いよく走り出した。
「椋先輩!どうしますか?」
「お前はパトカーに乗ってあいつら追いかけろっ!」
「了解しました!」
「遥斗、逃がすなよっ!」
若い方の警察官は手を挙げながら走りだし、すぐにパトカーに乗り、緋色を襲った車を追跡し始めた。
椋と呼ばれた黒髪の男は、座り込んで震える緋色に駆け寄り声を掛けた。
「大丈夫ですか?どうしました?」
「いやっ!!こわいこわいこわい…………思い出したくない………」
「………何があった?俺は警察だ…………」
警察の声掛けが耳に入らないほど、緋色は混乱しパニックを起こしていた。
「襲われただけじゃないのか………薬のようでもないし………」
震え怯える女の肩を抱きながら、椋は女性警官を呼ぼうと他の警察に連絡をしている時だった。