嘘つき旦那様と初めての恋を何度でも
望の言葉はとても強い物だった。
けれど、その声の中には深い悲しみと悔しさが伝わってくるものだった。
泉は頭の中が真っ白になる。頭をハンマーで叩かれたような衝撃とは、こういうのを言うのだろう。大きすぎる出来事に、しばらくの間言葉を失った。
けれど、すぐに出て言葉は、大切な緋色の安否だった。
「緋色ちゃんは…………緋色ちゃんは、無事なのか!?」
泉は声を張り上げた。
電話をしているのは事務室だった。もちろん、みんな席を外してくれている。今思えば、泉に配慮してくれたのかもしれない。
『無事だよ………見つかったのも早い方だった。けれど、数日はその男の部屋に監禁されていたみたいでね。身体には何もなかった。けれど、とても怖かったのだろう。………心がやられてしまったんだ』
「………こころ………」
その言葉を聞いた途端、泉は嫌な予感がした。彼女が怪我もないのには一安心だが、監禁という言葉を耳にして、怒りから体が震えた。
沢山の本を読んでいた泉にとっては、知っている言葉とはいえ、日常では使わない言葉。あまりに酷い仕打ちに、泉は犯人の元に行き叩いてやりたくなった。