嘘つき旦那様と初めての恋を何度でも
6話「小さな違和感」
6話「小さな違和感」
緋色の前向きな返事を聞いた泉は、今までで1番の満面の笑みを見せてくれた。
それを見た瞬間、この選択は間違ってはいなかったのだと、緋色は思えて心地がいい気分になれた。
その日の、帰り際に泉はとある提案をしてくれた。
「緋色さん、デートに行きませんか?」
「………デート………。」
「はい。結婚前にしておきたいなって思って。………ダメですか?」
すっかりご機嫌になった泉は、楽しそうに微笑んでいる。緋色は少し迷いながらも、泉とのデートに行ってみたいと思った。
デートというもの事態には興味がなかったけれど、泉と1日過ごして、どんな人なのかを知りたいと思った。結婚すれば毎日顔を会わせる人なのだなら、知っておきたいと思うのは当然だろう。
「いえ。よろしくお願いします。楽しみにしています。」
「わかりました!では、いつがいいですか?」
と、日時や時間を決めて、後は泉がプランを決めてくれるようだった。予定が合ったのは1週間後の休みの日。決まり次第連絡をくれる事になったので、緋色は泉と連絡先を交換して、その日は別れることになった。
玄関先まで見送ると、緋色はドアノブに触れた後、何かを思い出したように、振り向いた。
「緋色さん。」
「っっ………はい……。」
予想しなかった事だったため、緋色は思わず声が裏返ってしまった。顔も驚いた表情になってしまっただろう。