嘘つき旦那様と初めての恋を何度でも



 大好きな本の話しになり、緋色は目を輝かせてその話しを聞いていた。それを見て、泉は嬉しそうに笑いながら、「目的地に着くまで小説の話をしようか?」と言ってくれたので、緋色は「ぜひ!」と、返事をした。

 そこからは、話しが盛り上がり長旅というのも忘れてしまうぐらいだった。登場人物の制作秘話や、執筆の様子などを聞けて、緋色はファンとして貴重な時間を過ごしていた。
 「すごい!」「そうなんだ。」などと、ハイテンションになっている緋色を見て、泉も嬉しそうに話していた。

 そんな時、緋色はどうしても気になっている事があった。彼に聞いても良いものなのか、迷ったけれど、結婚したときに聞くことになるので、先に彼の言葉で聞きたいと思い、思いきって質問してみることにした。



 「あの、泉くん。…………どうして、今は本を書いていないの?」


< 40 / 216 >

この作品をシェア

pagetop