嘘つき旦那様と初めての恋を何度でも




 「………泉くん、これって………。」


 
 緊張した声で、彼を見つめながらそう言うと、彼も同じように表情を固くしながらも微笑んで、緋色を見守っていた。




 「緋色さん。ずっとずっと守るから。俺と結婚してくれませんか?」




 彼の言葉を聞いて涙したのは何故だろう。
 デートを楽しみにしていたのは何故なのか。
 彼と釣り合えるような女性になりたいと願ったのは何故か。


 それを考えれば、自分の答えはわかっている。緋色はそれを実感していた。


 結婚の理由がおかしくても、まだ本当の恋なのかわからなくても、結婚はきっかけなんじゃないか。
 
 彼と一緒にいると笑顔になれるし、ドキドキする。泉をもっと知りたいと思う。
 昔の彼も今の彼も、全てを。
 そう思えることが、緋色の本当の気持ち。


 緋色は泉に惹かれている。



 緋色は、その箱を自分の胸に引き寄せて、優しく抱きしめるように手で包んだ。




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