嘘つき旦那様と初めての恋を何度でも
「…………すごいわね………。」
「まぁ、そこそこ売れてるから。」
と、冗談混じりにそう言うと、泉は車から降りたので、緋色も同じように駐車場に降りた。そこから庭が繋がっているつくりになっていた。ただ木が塀に沿って並んでいるだけの小さなスペースだったけれど、それでも緑があると、落ち着いた雰囲気になる。
「緋色ちゃん、こっちだよ。」
泉に呼ばれて玄関に向かう。扉は木で出来ており、中央にはステンドグラスが嵌め込まれていた。青と緑と白の花が咲いている。
「緋色ちゃんが良かったら、だけど………俺と緋色ちゃんが一緒に住む家だよ。」
そういうと、そのドアの鍵を開けた。
泉がドアを開け、その部屋に入る。そこは、木の香りがするとても広々とした玄関だった。正面には2階に続く階段もある。
緋色は、その家の中を呆然と歩いていた。
ここが自分の家になると思うとそわそわしてしまうが、それとは違って妙な気持ちになっていた。
「帰ってきた。」という思いだった。
「こっちがリビングと、キッチン。」
泉に案内されると、そこは白を基調とした部屋だった。木もたくさん使われた部屋や家具だったけれど、白いソファやテレビ台などがあり清潔感のある室内となっていた。
キッチンも白で綺麗に整頓されていた。
「1階は、お風呂とトイレ。あとは和室があるよ。」
「………広い家だね。」
「2人で住むには十分な広さではあるね。次は2階に行こうか。」
1階をぐるりと回った後、廊下に出て2階に上がる。そこには、4室ほどの部屋があるようだった。