嘘つき旦那様と初めての恋を何度でも




 リビングに戻ると、泉はコーヒーとお菓子を出してくれた。昼食を遅めにとってしまったため、夕飯の時間でもまだお腹が空かないからと、お菓子を買ってきたのだ。2人でソファに座り並んで話をした。
 彼の家にいる事がまだ不思議な気分だった。


 「突然家なんかに連れてきちゃってごめんね。どうかな、ここの家で暮らすのって………。」
 「私の部屋は小さいし…………泉くんがいいのならここに住まわせて欲しいな。」 
 「それは大歓迎だよ!」
 「…………ありがとう。今日、こうやってお家を見ておけてよかった。けど、こんなに近いなんて思ってなかったわ。」
 「うん。そうだよね………。」


 泉はそう返事をすると、コーヒーを一口飲んだ。
 緋色がプレゼントした眼鏡はまだずっと着けており、温かいコーヒーを飲んだからか、少しだけレンズが曇った。


 「緋色ちゃんがよかったら、早めに引っ越ししない?もちろん、楪さんに結婚の挨拶をして会社とかにも連絡してからでいいから。」
 「……そうだね。早めに引っ越し出来るようにするね。」
 「もちろん、引っ越しの手伝いはするよ。」
 「ありがとう、泉くん。」


 緋色はそう微笑むと、泉はホッとしたように微笑み返した後に、緋色を優しくと抱きしめた。まだこうされるのには慣れておらず、緋色は体を硬くしてしまうと、泉は困ったように声を掛けた。


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